第3章 Visual Basic 6.0 による開発の成果物

3.1 プロジェクトファイル

3.1.2 プロジェクトファイルに関する操作

3.1.2.2 作成済のプロジェクトファイルに関する操作


 この項目 (3.1.2.2) の見出しの一覧

 作成済のプロジェクトファイルを開く保存の指示が必要な場合とは作成済のプロジェクトの上書き保存作成済のプロジェクトファイルに名前を付けてプロジェクトの保存作成済のプロジェクトファイルのパス情報の取得


 ここの説明は、作成済のプロジェクトファイルに対して通用するだけでなく、新たに作成しようとするプロジェクトファイルに対しても、それに名前を付けてプロジェクトの保存という操作を施した後であれば、通用します。

 ここには、作成済のプロジェクトファイルに関する操作の詳細説明として、次の四つが書いてあります。この中の三番目の名前を付ける操作と四番目のパス情報の取得に関する操作の中で行う指示は、「3.1.2.1 新しいプロジェクトファイルに関する操作」 に説明があった新しいプロジェクトファイルに名前を付けるという指示と同じものです。

・・ 作成済のプロジェクトファイルを開く

・・ 作成済のプロジェクトの上書き保存

・・ 作成済のプロジェクトファイルに名前を付けてプロジェクトの保存

・・ 作成済のプロジェクトファイルのパス情報の取得


(a) 作成済のプロジェクトファイルを開く

 既に作成済のテキストファイルを参照したり、変更したりするには、メモ帳であれば、ファイル(F) というメニュータイトルを開いて、その中の開く(O)... というメニュー項目をクリックします。

 これと同様に、Visual Basic の場合、既に作成済のプロジェクトファイルを参照したり、変更したりするには、メインウィンドウファイル(F) というメニュータイトルを開いて、その中のプロジェクトを開く(O)... というメニュー項目をクリックしてください。



 Visual Basic の場合には、ボタン一つでこの操作を行うことができます。上図のボタン、即ちメインウィンドウのツールバーの中のプロジェクトを開くボタンをクリックしてください。

 このどちらか (メニュー項目またはボタン) によって指示を与えると、以下に示すプロジェクトを開くというダイアログボックスが登場します。ここで、ファイルが格納されているフォルダ (ディレクトリ) とファイル名を選択してから開く (または OK) というボタンをクリックしてください。プロジェクトファイルを開くことができます。



 ところで、プロジェクトを開く場合、最近使ったものを開くことがほとんどですから、そういう場合の操作が楽にできるようになっています。最近使ったものを開く操作では、わざわざフォルダ (ディレクトリ) とファイル名を指定する必要がない分だけ手間が省けます。

 最近使ったものを開くの操作方法には、次の二つがありますから、都合のよい方をお使いください。

 第一は、既存のファイルというタブではなく最近使ったファイルというタブをクリックして開く操作方法です。こうすると、最近開いたプロジェクト (50 個) の一覧を格納したリストボックスが出現しますから、この中の一つをダブルクリックすることで開くべきプロジェクトを指定することができます。

 第二の方法は、特にほんの少し前まで使っていたプロジェクトを開く場合に便利です。こういう場合は、メインウィンドウファイル(F) というメニュータイトルをクリックしてみるのがよいでしょう。メニューの中に最近開いたプロジェクト (4 個) の一覧がありますから、そこに目指すプロジェクトがあれば、それをクリックすることで開くべきプロジェクトを指定することができます。これは、スマートで素早い操作方法だといえます。

 上記のように操作方法は幾つもありますが、どの操作をしても結果は全く同じであり、指定のプロジェクト (ファイル) をカレントプロジェクト (ファイル) にすることになります。詳しくいうと、まずこの操作をする直前のカレントプロジェクトを閉じて、次に指定のプロジェクトを開いて、この後にこれをカレントプロジェクトに切り換えることになります。

 ですから、この操作をすると、プロジェクトエクスプローラを通してこの新しいカレントプロジェクトに関する情報を見ることができるようになります。もしも、プロジェクトエクスプローラが登場していなければ呼び出してみてください。


(b) 保存の指示が必要な場合とは

 メモ帳には、上書き保存(S) というメニュー項目があります。これはテキストをメモ帳で変更した後、誤って電源を切断したり、メモ帳や Windows 系 OS が異常終了してしまうような事態に備えるためのものです。テキストを変更しても、パソコンの中のメモリの内容が変更されるだけですから、電源を切断してしまうと変更後の最新の内容は消えてしまいます。しかし、上書き保存をしておけば、その内容がファイルに格納されますから、上記のような事態になっても安心だというわけです。

 ところで、Visual Basic 用いて開発したアプリケーションプログラムに誤りがあったとしても Visual Basic や Windows 系 OS が異常終了することは稀です。これは、Visual Basic がアプリケーションプログラムの誤りをチェックアウトしているお陰です。

 ですから、普通は、取り立てて保存の指示を与える必要はありません。ただし、プログラムの中から DLL (ダイナミックリンクライブラリ) を呼び出している部分のデバッグが不十分な場合には、プログラムを変更したならば、それを実行させる前に保存の指示を与えておくことをお勧めいたします。

 ダイナミックリンクライブラリ (DLL) の呼び出しパラメタに誤りのあるプログラムを実行させると、Visual Basic が異常終了したり、もろくも Windows 系 OS が異常終了するという結果になるかもしれません。そして、どの種の異常終了が発生しても、変更を施した後の最新のプログラムの内容は消えてしまいます。

 これらに備えるには、こまめに保存をしておくことです。こうすれば、作成途中の最新のプログラムが消え去ることはありません。

 なお、Visual Basic のアプリケーションプログラムが無限ループに陥った場合には、(インタープリタで実行しているのなら) Ctrl キーを押したまま更に Pause (Break) キーを押下することによって、Visual Basic を強制的に中断状態にすることができます。ただし、希にはこれが効かないこともあります。そういうときには、Visual Basic を強制終了させるか、最悪は Windows 系 OS を強制終了させなければならなくなります。

 このような強制終了においては、もしも変更を施した後に保存をしていないと最新のプログラムの内容は消えてしまいます。

 --- 因みに、Visual Basic やWindows 系 OS を強制終了させたいときには、キーボード上のCtrl キーとAlt キーの両方を押したまま、更に Delete キーを押下してください。---

 もしもファイルの内容を変更したにもかかわらず保存をおこたると、Visual Basic に異常終了が発生したときや強制終了させるときに、作成の途中の最新のプログラムがなくなってしまいます。正確にいうと、変更前の内容はファイルに残っていますから、全てがなくなるわけではありません。変更した部分がなくなるだけなのですが、DLL のパラメタに関するバグなどがある上に最新のプログラムまでなくなってしまうのですから、泣きっ面を蜂にさされたような気分になるものです。

 こんな目に合わないように、要所要所で忘れずに保存の指示をしましょう。

 ただし、上書き保存をしてしまうと、変更前の内容に戻すことが難しくなります。上書き保存をする前であれば、変更前の内容がファイルに残っていますから、この後でメモリの内容をファイルに保存するための操作をしない限り、簡単に元に戻すことができます。しかし、上書き保存をすると、ファイルの元の内容が最新の内容に置き換わってしまうので、元に戻すことが簡単にはできなくなってしまいます。これを十分に認識した上で、適切な保存の指示を与えてください。


(c) 作成済のプロジェクトの上書き保存

 Visual Basic のプロジェクトの上書き保存は、メモ帳の上書き保存に相当するものですが、少しばかり違いがあります。プロジェクトの上書き保存という指示を与えると、まず初めにそのプロジェクトを構成するモジュール一つ一つについてチェックが行われ、もしも最新の内容が保存されていないものがあれば保存されるようになっています。Visual Basic は、プロジェクトファイルだけでなくフォームモジュールコードモジュールも取り扱っているので、基本的にこれらも保存されるようになっているわけです。

 プロジェクトの上書き保存をするには、メインウィンドウファイル(F) というメニュータイトルを開いて、その中のプロジェクトの上書き保存(V) というメニュー項目をクリックしてください。



 または、ボタン一つでこれを行うには、上図のボタン、即ちメインウィンドウのツールバーの中のプロジェクトの上書き保存ボタンをクリックしてください。

 --- Visual Basic には… の保存(S) というメニュー項目がありますが、これは、(プロジェクトファイルではなく) 指定したフォームモジュールまたはコードモジュールを一つだけ保存するためのものです。どちらかというと特殊用途向けですから、混同しないようにご注意ください。---

 プロジェクトの上書き保存という指示は、そのプロジェクトに含まれるフォームモジュールおよびコードモジュールのうちの更新されているものを全て保存 (最新の内容を保存) するとともに、プロジェクトファイルを保存するためのものです。保存をする場合には、このプロジェクトの上書き保存を用いるのが一般的です。


(d) 作成済のプロジェクトファイルに名前を付けてプロジェクトの保存

 プロジェクトファイルの変更前の内容変更を施した後の最新の内容の両方とも保存したいときには、名前を付けてプロジェクトの保存という指示を与えてください。これは、メモ帳の名前を付けて保存に相当するものです。

 名前を付けてプロジェクトの保存の操作方法は、以前に説明があった 3.1.2.1 (b) 新しいプロジェクトファイルに名前を付けてプロジェクトの保存 と同じです。新しいプロジェクトの場合も作成済のプロジェクト場合も操作方法に変わりはありません。

 メインウィンドウファイル(F) というメニュータイトルを開いて、その中の名前を付けてプロジェクトの保存(E)... というメニュー項目をクリックしてください。

 この指示を与えると、名前を付けてプロジェクトの保存というダイアログボックスが登場します。ここで、新しいファイル名とファイルの格納先のフォルダ (ディレクトリ) とを指定してから保存 (または OK) というボタンをクリックしてください。

 これらの操作の結果、プロジェクトファイルの新しいコピーが作られることになります。そして、元のプロジェクトファイルは手つかずのまま残り、更にプロジェクトファイルの最新の内容がここで指定したファイルに保存されることになります。

 なお、このプロジェクトファイルの保存に先立って必要なモジュールも保存されます。詳しくいうと、もしもモジュールの最新の内容がファイルに保存されていなければ、原則としてそのようなモジュールの全てが保存されて、その後に、プロジェクトファイルが保存されます。

 ところで、この保存処理の結果は、プロジェクト名の変更 (即ちファイル名の変更) だと捉らえることもできます。

 元のプロジェクトファイルはそのまま残っているのですが、元のプロジェクトファイルの内容をコピーした新しいファイルができて、そのファイル名は、ここで指定した新しい名前になります。そして、カレントプロジェクトの名前 (即ちプロジェクト名) もこの新しい名前に変更されます。

 ですから、元のプロジェクトファイルをここで消去してしまうとすれば、新しい名前のファイルは、元のプロジェクトファイルの名前が変更になった (上に更に内容が最新の内容になった) ものだとみなすことができます。また、消去せずに残しておくとことにすれば、名前の変更をした上に、更に元のプロジェクトファイルを復元して残してあるのだとみなすことができます。

 プロジェクト名の変更のために名前を付けてプロジェクトの保存という指示を与えるときには、保存した後に元のプロジェクトファイルを消去するようにお勧めいたします。もしも消去しないと、元のプロジェクトファイルがゴミファイルとして残ってしまうからです。なお、元のプロジェクトファイルを消去するには、Windows 系 OS のエクスプローラを登場させて、それに削除の指示を与える方法が普通です。


(e) 作成済のプロジェクトファイルのパス情報の取得

 プロジェクトファイルのファイル名は、プロジェクトエクスプローラの中に記載されています。しかし、これはパス情報と拡張子を除いた簡略化されたファイル名ですから、ここからパス情報を得ることはできません。

 パス情報を取得するには、一旦名前を付けてプロジェクトの保存という指示を与えます。

 この操作方法は、以前の説明にあるとおりです。即ち、メインウィンドウファイル(F) というメニュータイトルを開いて、その中の名前を付けてプロジェクトの保存(E)... というメニュー項目をクリックしてください。

 この指示を与えると、名前を付けてプロジェクトの保存というダイアログボックスが登場するので、その中からパス情報を読み取ることができます。見た後は、キャンセルというボタンをクリックしてください。

 なお、名前を付けてプロジェクトの保存という指示を与えたときに、名前を付けてファイルの保存という (プロジェクトではなくファイルに関する) ダイアログボックスが登場することがあります。なぜこのようになるのかについては 3.1.2.1 (c) 後始末が必要な場合になされる問合わせ の説明を参照してください。




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