第3章 Visual Basic 6.0 による開発の成果物
この節 (3.1) の目次 (見出しの一覧)
ここでは、開発の成果物の一つ (一種) であるプロジェクトファイルについて、ソフトウェア資産という観点から調べた後で、これに関する操作方法をマスタすることを目指します。
なお、操作方法の説明は「3.1.2 プロジェクトファイルに関する操作」という項から始まります。
この項 (3.1.1) の見出しの一覧
プロジェクトファイルとは/プロジェクトの名前/プロジェクトファイルの内容/モジュール一覧表の中のファイル名/プロジェクトファイルとプロジェクトエクスプローラ
Visual Basic のプロジェクトとは“開発プロジェクト”というような意味ではありません。このプロジェクトという言葉の意味は“幾つかのモジュールから構成されたプログラム”に近いものだと考えてください。実際に、プロジェクトとは、幾つかのモジュールを集めた言わば“モジュールの集合”です。
以上のことをご理解いただくとプロジェクトファイルという言葉の意味が明確になります。プロジェクトファイルとは、そのプロジェクトを構成するモジュールの一覧表などの情報を格納したファイルのことです。つまり、プロジェクトを代表するソフトウェア資産だということができます。
プロジェクトの名前、即ちプロジェクト名としては、プロジェクトを代表するプロジェクトファイルのファイル名を代用します。
プロジェクトファイルのファイル名には、ソフトウェア資産の種類が一目で分かるように vbp という拡張子を付けるのが習わしです。例えば、Rensyuu3.vbp というようなファイル名を付けます。なお、vbp は Visual Basic Project に由来します。
プロジェクトだと明確に分かっている場合には、ピリオドと拡張子を除いた名前 (上の例の場合には Rensyuu3) をプロジェクト名として用いることがあります。
プロジェクトファイルの中の主な情報は、モジュール一覧表です。これは、どれとどのモジュールがプロジェクトのメンバになっているかを管理する表です。
プロジェクトファイルはテキストファイルですから、Windows 系 OS のメモ帳によってそのファイルを開いて、中身を見ることができます。
例えば、プロジェクトファイル Rensyuu3.vbp の中身を見ると、下記のように、プロジェクトを構成するモジュールの名前、即ちモジュール名 (モジュールのファイル名) が一覧になっていることが分かります。
Type=Exe
Form=Rensyuu3.frm
Module=Ae_MsgL0; ..\Ae_MsgL0.bas
Module=Ae_Proc; ..\Ae_Proc.bas
Module=Ae_Rsmr; ..\Ae_Rsmr.bas
Module=CDbangou; CDbangou.F31
Module=Rensyuu; Rensyuu.D31
Module=KyokuSuu; KyokuSuu.F21
Module=Goukei; Goukei.F21
Module=CDbangou1; CDbangou.dem
Module=EnsouHun; EnsouHun.F31
Form=CDbangou.frm
Module=Rensyuu30001; Rensyuu3.fpr
Module=Rensyuu30002; Rensyuu3.psi
IconForm="FR_Rensyuu"
Startup="FR_Rensyuu"
HelpFile=""
Title="CD管理簿"
ExeName32="Rensyuu3.exe"
Command32=""
Name="RENSYUU3"
HelpContextID="0"
CompatibleMode="0"
MajorVer=1
MinorVer=0
RevisionVer=0
AutoIncrementVer=0
ServerSupportFiles=0
VersionCompanyName="AppliTech Inc."
CompilationType=-1
OptimizationType=0
FavorPentiumPro(tm)=0
CodeViewDebugInfo=0
NoAliasing=0
BoundsCheck=0
OverflowCheck=0
FlPointCheck=0
FDIVCheck=0
UnroundedFP=0
StartMode=0
Unattended=0
Retained=0
ThreadPerObject=0
MaxNumberOfThreads=1
2行目から "IconForm=・・・・・・・" という行の直前までの各行には、モジュールのファイル名がそれぞれ一つずつ記載されています。この例の場合は、全部で 44 行ありますが、このうちの 13 行 (赤字の部分) がモジュールのファイル名です。
したがって、このプロジェクトは、この 13 個のモジュールから構成されているといえます。
モジュール一覧表の中のファイル名は、いろいろな形で表現されています。
パス情報が省略されているのはプロジェクトファイルと同じフォルダ (ディレクトリ) に存在するファイルですし、..\ という文字列で始まるのはプロジェクトファイルの親フォルダ (親ディレクトリ) に存在するファイルです。この他にドライブ名 (例えば C:) から始まる完全なパス指定 (フルパスファイル名) で表されることもあります。
この例の中にはありませんが、拡張子が ocx のモジュールは、フォームモジュールでもコードモジュールでもない言わば第三のモジュールであり、カスタムコントロールモジュールと呼ばれています。
実物を眺める方が理解が速いと考えて、プロジェクトファイルの中身を見てしまいましたが、こんな風にして Windows 系 OS のメモ帳でモジュール一覧表を眺めることをお勧めしているわけではありません。
モジュール一覧表を見るにはプロジェクトエクスプローラを呼び出してください。プロジェクトエクスプローラの中にモジュール名 (即ちファイル名) の一覧表があります。別の言い方をすると、プロジェクトファイルの主な情報 (モジュール一覧表) を見るためには、それ専用のプロジェクトエクスプローラという召使がいるので、それを使って見るのがよいということです。