第3章 Visual Basic 6.0 による開発の成果物
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Visual Basic 6.0 を用いたアプリケーションプログラム開発における主要な成果物には、次の4種類のソフトウェア資産があります。これらは、Visual Basic 6.0 のウィンドウという召使たちに指示を与えて作った、あなたの作品だということができます。
これらのソフトウェア資産は、一旦はパソコンの中のメモリ上に展開されますが、最終的にはファイルという形になります。ファイルになった後は、保存したり、持ち運んだりできるようになります。例えば、光ディスク (MO) に格納して持ち運んだり、パソコンのハードディスクに保存したり、LAN で結ばれたサーバの共用ディスクに格納してシェア (共用) したりでき
るわけです。
そして、それぞれのソフトウェア資産は、ファイル名によって識別できるようになります。例えば、「Rensyuu3.vbp というプロジェクトファイルの内容を変更する」 というように成果物を名指しにした表現が可能になるわけです。
ところで、ファイル名には拡張子を付けることができますが、拡張子の役割はソフトウェア資産の種類を一目で判別できるようにすることです。言わば、色分けをするわけです。
地球儀の海の部分を水色に塗ったり、隣り合う国に別々の色を付ける習慣があるのと同様に、ファイルの拡張子として、プロジェクトファイルには vbp、フォームモジュールには frm、コードモジュールには bas、exe (実行可能プログラム) には exe という拡張子を付けるのが習わしです。こうしておくと、拡張子によってソフトウェア資産の種類が一目で分かります。
なお、MANDALA を用いた開発においては、例えば、機械生成されたコードモジュールか手作りかによって拡張子を使い分けます。このようなコードモジュールの細かな種類が一目で分かるように、bas だけでなく、Dnn、Fnn、fpr、psi、dbm、dem などの拡張子も用いています (ただし nn は2個の数字)。
Visual Basic によるプログラムの開発作業としては、手作りする方法と MANDALA などを用いて機械生成する方法がありますが、いずれにしてもその成果物は、特定の形をしたファイルになります。
この章の狙いは、最終的な成果物の形をハッキリと意識した上で、それぞれの成果物の参照方法や変更方法などに関する基本操作をマスタすることです。
4種類のソフトウェア資産を個々に調べる前に、ここでこれらの関係を概観しておきましょう。
プロジェクトファイルの中のモジュール一覧表には,このプロジェクトに含まれるフォームモジュールとコードモジュールの全ての名前が記入されています。ですから、このモジュール一覧表は、これらの基本モジュールの全てを指し示しているということができます。つまり、プロジェクトファイルは、プロジェクトを代表するソフトウェア資産だといえます。
コードモジュールの中にはプログラムコード (ピンク色の部分) が入っていて、これ以外のものは入っていないと考えてください。つまり、コードモジュールは、プログラムコードだけを格納したファイルです。
フォームモジュールの中にもプログラムコード (ピンク色の部分) が入っていますが、これだけでなく、オブジェクト詳細情報 (空色の部分) も入っています。オブジェクト詳細情報とは、フォームの大きさ、およびフォームに含まれている各コントロールの位置や大きさなどの情報 (各種のプロパティ情報) のことです。つまり、フォームモジュールは、オブジェクト詳細情報 (プロパティ情報) とプログラムコードを格納したファイルです。
exe (実行可能プログラム) の中には、プロジェクトファイルとそのプロジェクトを構成する全ての基本モジュール (フォームモジュールおよびコードモジュール) を集約した情報が入っています。exe (実行可能プログラム) は、アプリケーションプログラムを配付するときに都合のよいファイルだといえます。