はじめに

本書は、100 ページ程度の手ごろな分量のインターネットに対応した Visual Basic の入門書です。

ActiveX という名のもとに、Visual Basic がインターネットの世界でも羽ばたこうとしておりますが、アプリテック株式会社では Visual Basic の入門書をインターネットの世界に展開してみました。即ち、インターネット用のブラウザで快適にご覧になれるような入門書をここにご提供する次第です。

本書の中には、Visual Basic のアドオンツールとしてアプリテック株式会社が開発した eee MANDALA のお勧めのような説明が5%ほど含まれていますが、全体としては、ほとんど純粋な Visual Basic の入門書だということができます。

また、本書は操作方法を中心にした構成になっていますから、一般の Visual Basic 入門書を補完することになりそうです。本書は、きっと Visual Basic を本格的に学習しようという方々のお役に立つことと思います。

なお、本書を読み進めるためには、Windows 系 OS (即ち Windows95 または Windows NT または Windows 3.1) についての初歩的な操作方法を習得していることが必要です。

Windows 系 OS の種類によっては操作方法などに若干の違いがありますが、本書は主に Windows95 を対象にした説明になっています。なお、OS の種類による細かな違いは断り書きを付けてあります。Windows NT 4.0 については、特に断り書きのない限り Windows95 に関する記述を参照してください。また、Windows 3.1 については、特に断り書きのない限り Windows NT 3.51 に関する記述を参照してください。

インターネット用のブラウザを使うと、文書内または文書間に張りめぐらされたリンク (参照関係) をたどることができますし、イラストや写真を表示することもできます。特にリンクを活用した文書からは、紙に印刷された本では味わえない便利さを体験できることでしょう。

本書は、全体の2割ほどを占める充実した索引を設けたことと、リンクを張りめぐらしたことによって、知りたいことが直ぐに探し出せるように工夫されています。つまり、ランダムアクセスがしやすいといえます。

一方、本書は全体を通読できるような構成にもなっています。できれば1度、はじめから終わりまでシークエンシャルアクセスをして、その後で分からないところをランダムアクセスすることをお勧めいたします。本書がスラスラ読めるようなら、かなりのレベルに達していますから、まだ Visual Basic を使いこなせないとしても、あと一歩というところまできています。自己診断をするためにも1回は通読することをお勧めいたします。

本書は、Visual Basic の基本操作が全て分かるように、またうろ覚えでも使えるように配慮してあります。このために、索引はうろ覚えの言葉でも引けるものにしました。例えば、何かを開設したいと思ったときに、「開設」という言葉を索引で引くと、「登場させる」のか「追加する」のか、または「開く」のかと、本書で使われている用語が出現します。これらの用語の一つをたどると、例えば「何を登場させる」のかの「何」の一覧がでてきますので、目指すものを見つけることができるでしょう。索引が全体の2割ほどを占めるのは、このような工夫がしてあるためです。

こうすることで、本書はうろ覚えにも対応できるようになっていると思うのですが、Visual Basic を使っているときに、いちいち本書を見ているのでは、やはりまどろっこしいということになってしまいます。本書にあるような Visual Basic の基本操作は、完全に覚えてしまうことが必要です。できれば体で覚えたというレベル (最近の学説では小脳で覚えるとスムーズに使いこなせるようになるとのことです) に達することが望ましいといえます。

そのレベルになるには、Visual Basic を繰り返し使うしかありません。本書はそのお手伝いをするものですが、本書を読むだけでは、残念ながらそのレベルに達することはできません。少なくとも 30 時間ぐらいは、みっちりと Visual Basic とお付き合をいただくことが必要でしょう。

Visual Basic に関する市販本は、数多く出版されており、50 種類を越えています。また、いろいろな雑誌に掲載された Visual Basic に関する記事はもっと多いことでしょう。こうしたものの多くは Visual Basic で簡単に書けるプログラムばかりを対象にしています。ボタンをクリックしたときに何々するというような Visual Basic の特長を十分に発揮するものばかりを解説しているのです。実際に Visual Basic はある種のプログラムを大変に書きやすくしたわけですから、無理もないことといえますが、果してこれでよいのでしょうか。

ここで世の中の業務アプリケーションを眺めてみると、Visual Basic で簡単に書けるものばかりではないことが分かります。Visual Basic よりも他のプログラミング言語を用いる方が簡単にできるということは稀ですが、他のプログラミング言語を使ったときと同様に、かなりの量のプログラムを必要とするものも存在します。

このようなプログラムをどうやって簡単に開発するのかという問題は依然として残っているわけです。ここで、この問題に対する有力な解をズバリ言うと、少なくとも事務処理分野に限れば、プログラムコードの再利用を推進することです。例えば、データ項目オブジェクトなどのソフトウェア部品を自動的に糊付けすることで (即ち、このための Visual Basic のプログラムコードを機械生成することで) その再利用を容易にする eee MANDALA のようなツールを活用することです。

本書は、プログラムの大部分は機械生成されるものだということを前提にして、この他に Visual Basic の何を知るべきかを追求したものです。ですから、プログラムの書き方についてはほとんど説明してありません。ここで誤解のないように申し上げますが、だからといって Visual Basic のプログラムの書き方を知る必要がないなどと主張するつもりは更々ありません。Visual Basic に慣れるためにも自信を付けるためにもプログラムを書いてみることは必須です。

それには、優れたプログラムを眺めることから始めるのも有効ですし、ゲーム感覚でとにかく書いてみるのもよいでしょう。こうした中で、ある種のプログラムは Visual Basic で簡単に作れるという実感を得るのは楽しい経験になることでしょう。また、こんなプログラムも簡単だろうとトライして、そうではないものに出くわすことも重要です。そういう未開拓エリアに関する“土地勘”を養うことになるからです。

それから、COBOL という言語に慣れ親しんでいたような方は、イベント駆動という新しいプログラムのスタイルを受け入れることが必要になります。プログラムの入口から出口までダラダラと流れていくプログラムに慣れている方にとって、Visual Basic などのイベント駆動のスタイルはちょっとしたカルチャーショックかもしれません。しかし、時代に取り残されないためには、プログラムをイベントの発生によってチョロッと走る粒々の沢山のルーチンによって構成するスタイル、即ちイベント駆動のスタイルに慣れてもらわなければなりません。

こういったいろいろな意味で Visual Basic のプログラムの世界を散策することは必修です。なお、その際にプログラムの書き方については、入門書が何種類も出ていますから、そういったものを併読することをお勧めいたします。

本書は、このような散策の中でご覧になっていただけると効果的です。本書には、プログラムの書き方は解説してありませんが、それ以外に何を知るべきかということがまとめてあります。つまり、世の中の多くの入門書を補完するものだということができます。

本書は、もともと Visual Basic によるプログラムの開発に eee MANDALA を併用することを前提に書いたものです。しかし、eee MANDALA を使用しない場合にも本書を読むことは大いに意味があります。普通の入門書とは一味違う観点から書いてあり、補完的なものだからです。

なお、Visual Basic を使用したとしても、かなりの量のプログラムを必要とする業務アプリケーションについては、開発を効率化する手段の一つとして是非とも eee MANDALA を併用することをお勧めいたします。通常の事務処理アプリケーションであれば、eee MANDALA がその大部分のプログラムを機械生成します。

eee MANDALA は、主にアプリケーションプログラムの操作性に関わるプログラムコードを機械生成するものです。世の中のプログラムを操作性という観点で分類してみれば、同種の操作性をもつプログラムは、操作性に関わるプログラムコードにも共通性があるはずです。これを追求することによって、この部分のプログラムコードを機械生成することが可能になりました。

ですから第一歩は、操作性に関する共通性を見つけることでした。例えば、Windows 系 OS のメモ帳と Visual Basic とは、操作性という観点から同じカテゴリに分類できます。したがって、それらの操作性に関わるプログラムコードの何割かは共通にできるはずです。本書を読むことの副次的な効果として、こんなことを知ることから始めて eee MANDALA への理解を深めていただければ幸いです。


eee MANDALA

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eee, SSS/Win は、ウッドランド株式会社から販売されている製品です。
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