はじめに

 本書は、140 ページほどの手ごろな分量 Visual Basic 6.0 の入門書です。

 ActiveX という名のもとに、Visual Basic 6.0 がインターネットの世界にも羽ばたいておりますが、アプリテック株式会社では Visual Basic 4.0 および 5.0 に続いて Visual Basic 6.0 の入門書もインターネットの世界に展開して、インターネット用のブラウザで快適にご覧になれるような入門書をここにご提供する次第です。

 この入門書は、部分的に参照しても意味が通じるようにしたため、同じ説明が繰り返し出現することをお断りしておきます。同じ説明が出現したら、操作性に関する共通性があることを察知していただき、その共通性に着目するようにすると、理解がはやまることでしょう。

 本書の中には、Visual Basic のアドオンツールとしてアプリテック株式会社が開発した MANDALA に関する説明が若干含まれていますが、全体としては、ほとんど純粋な Visual Basic の入門書だということができます。

 そして、本書は操作方法を中心にした構成になっていて、一般の Visual Basic 入門書一味違う観点から書いてあり、補完的なものです。ですから、本書を読むことは、MANDALA を使用しない場合にも大いに意味があり、Visual Basic を本格的に学習しようという方々のお役に立つことと思います。

 本書を読み進めるためには、Windows 系 OS (即ち Windows 2000 または Windows98 または Windows95 または Windows NT) についての初歩的な操作方法を習得していることが必要です。操作方法は、Windows 系 OS の種類によって若干の違いがあることがあります。本書は Windows NT 4.0 を対象にした説明になっていますが、Windows 2000 および Windows98 および Windows95 については、Windows NT 4.0 の操作方法と基本的に同じだと考えてよいでしょう。したがって、操作方法については OS の種類の違いをほとんど気にする必要はありません。

 Visual Basic に関する市販本は、数多く出版されており、100 種類を越えています。また、いろいろな雑誌に掲載された Visual Basic に関する記事はもっと多いことでしょう。こうしたものの多くは Visual Basic で簡単に書けるプログラムばかりを対象にしています。例えばボタンをクリックしたときに何々を表示するというような Visual Basic の特長を十分に発揮するものばかりを解説しているのです。実際に Visual Basic はある種のプログラムを大変に書きやすくしたわけですから、無理もないことといえますが、果してこれでよいのでしょうか。

 ここで世の中の業務アプリケーションを眺めてみると、Visual Basic で簡単に書けるものばかりではないことが分かります。Visual Basic よりも他のプログラミング言語を用いる方が簡単にできるということは稀ですが、他のプログラミング言語を使ったときと同様に、かなりの量のプログラムを必要とするものも存在します。

 このようなプログラムをどうやって簡単に開発するのかという問題は依然として残っているわけです。ここで、この問題に対する有力な解をズバリ言うと、少なくともビジネス分野のプログラムに限れば、プログラムコードの再利用を推進することです。例えば、データ項目オブジェクトなどのソフトウェア部品を自動的に糊付けすることで (即ち、糊付けのための Visual Basic のプログラムコードを機械生成することで) その再利用を容易にする MANDALA のようなツールを活用することです。

 本書は、プログラムの大部分は機械生成されるものだということを前提にして、そういう場合に Visual Basic の何を知るべきかを追求したものです。ですから、プログラムの書き方についてはほとんど説明してありません。

 ここで誤解のないように申し上げますが、だからといって Visual Basic のプログラムの書き方を知る必要がないなどと主張するつもりは更々ありません。Visual Basic に慣れるためにも自信を付けるためにもプログラムを書いてみることは必修です。書くためには優れたプログラムを眺めることから始めるのも有効ですし、ゲーム感覚でとにかく書いてみるのもよいでしょう。こうした中で、ある種のプログラムは Visual Basic で簡単に組めるという実感を得るのは楽しい経験になることでしょう。また、こんなプログラムも簡単だろうとトライして、そうではないものに出くわすことも重要です。そういう未開拓エリアに関する一種の“土地勘”を養うことになるからです。

 それから、COBOL という言語に慣れ親しんでいたような方は、イベント駆動という新しいプログラムのスタイルを受け入れることが必要になります。プログラムの入口から出口までダラダラと流れていくプログラムに慣れている方にとって、Visual Basic などのイベント駆動のスタイルはちょっとしたカルチャーショックかもしれません。しかし、時代に取り残されないためには、プログラムをイベントの発生によってチョロッと走る粒々の沢山のルーチンによって構成するスタイル、即ちイベント駆動のスタイルに慣れてもらわなければなりません。

 こういったいろいろな意味で Visual Basic のプログラムの世界を散策することが必要です。なお、その際にプログラムの書き方については、入門書が何種類も出ていますから、そういったものを併読することをお勧めいたします。

 本書は、このような散策の中でご覧になっていただけると効果的です。本書には、プログラムの書き方は解説してありませんが、それ以外に何を知るべきかということがまとめてあります。つまり、世の中の多くの入門書を補完するものだということができます。

 なお、Visual Basic を使用したとしても、かなりの量のプログラムを必要とする業務アプリケーションについては、開発を効率化する手段の一つとして是非とも MANDALA を併用することをお勧めいたします。通常のビジネス分野のアプリケーションであれば、MANDALA がその大部分のプログラムを機械生成します。

 MANDALA は、主にアプリケーションプログラムの操作性に関わるプログラムコードを機械生成するものです。世の中のプログラムを操作性という観点で分類してみれば、同種の操作性をもつプログラムは、操作性に関わるプログラムコードにも共通性があるはずです。ここを追求することによって、この部分のプログラムコードを機械生成することが可能になりました。

 ですから第一歩は、操作性に関する共通性を見つけることでした。例えば、ワープロソフト Word と Visual Basic とは、操作性という観点から同じカテゴリに分類できます。したがって、それらの操作性に関わるプログラムコードの何割かは共通にできるはずです。本書を読むことの副次的な効果として、こんなことを知ることから始めて MANDALA への理解を深めていただければ幸いです。

 なお、MANDALA の基礎となる理論などを説明した 「ビジネスロジック部品」 という参考図書も、合わせてご参照ください。

 
eee, SSS/Win, RRR は、ウッドランド株式会社から販売されている製品です。
MANDALA は、アプリテック株式会社の商標として登録の申請を済ませています。
Visual Basic, Windows, Windows NT, ActiveX は、米国マイクロソフト社の商標です。
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