このように構築しよう クラサバ システム
昔の二の舞を繰り返さないために ここ を押さえる

 皆様、クライアントサーバシステム (省略するとクラサバシステム) にどう取り組んでいらっしゃいますか。アプリテック株式会社では、クラサバシステムに関わる話題をご提供しております。

 弊社の主業務は、Windows 系のクライアントアプリを Visual Basic で組む際のご支援なのですが、クラサバシステムに関わる面白い話がいろいろとありますので、それをご披露することで、皆様のお役に立てていただこうという趣向です。

 ここでは、クラサバシステムを構築する際に何を狙うべきかを考えてみましょう。当然のことですが、情報システムがもたらす効果を第一に考えるべきだということは言わずもがなです。単に従来と同様のシステムをクラサバ構成にするだけでは、つまり「クラサバシステムを構築することが狙いだ」というのでは面白くありません。何らかの更なる効果をあげようという意図を明確にしたいものです。

 ところで先日、こんな話がありました。A社ではメインフレームで遂行していた業務をクラサバシステムに移行するための開発を行っているのですが、ある開発項目が遅れそうだというのです。その開発項目とは、その開発に関係して必要になったメインフレームのプログラムを改修 (改造) する部分なのです。新たに構築しているプログラムは、効果的な技術を適用することで、昔の感覚からすると超スピードで開発が進んでいるのですが、COBOL で開発された過去の遺産の改修 (改造) の進捗が悪いというのです。どうすべきかとA社から問われましたが、弊社では何のご支援のしようもない分野です。


 A社では、過去の遺産のプログラムのメンテナンスに多大な費用をかけています。特定のメーカと付き合いを続けたり、特定のソフトハウスを抱え続けたりすることで、何とか過去のプログラム遺産のメンテナンスをしていけるようにしているのですが、このための費用は固定費として情報化予算の大きな割合を占めているのです。

 こんなわけで新たなシステムを構築する予算がとれない状況でしたが、新たなシステムにしないと身動きできずに窒息してしまうということで、無理やり予算をとってクラサバシステムの開発を始めたのでした。


 開発も半ばを過ぎた段階でしたから、次のようなことを言っても手後れになっていました。「新たなクラサバシステムを構築するときには、昔のシステムとの繋がりをなくして (あるいは極力少なくして)、昔のシステムに足を引っ張られることのないようにすべきである。」 とか 「新たなクラサバシステムの構築は、昔のシステムに手が入らない形にすべきである。」 とか ...

 A社では、結局、昔のシステムに足を引っ張られることになったのですが、このことは次の根源的なあやまちの存在を気づかせてくれました。

 ここで、このあやまちを理解するには、新たに構築中のシステムの10年後の姿を想像してみることが必要です。何も手を打たないと、そのシステムにおいてもメンテナンスに悩まされることになるのは目に見えています。新たなシステムを構築するときには、生みの楽しみもあり、新システムへの想いでいっぱいになりがちで、将来のメンテナンスのことまで気が回らないことが多いようです。ですから、メンテナンスの負荷が重く圧し掛かってくる現実を軽視しがちです。こうしたことに気がつけば、新システムを構築するのは大変に良い機会ですから、メンテナンス負荷の軽減策をこうじることで、このあやまちを正すべきではないでしょうか。是非とも、昔の二の舞を繰り返すことのないようにしようではありませんか。

 話を元の「情報システムがもたらす効果」に戻しましょう。一般には、従来と同様のシステムを構築しても、大きな効果は期待できないと考えられています。ですから、新たなクラサバシステムを構築する際に、何らかの付加価値を付けたり、その効果に関する“作文”をしたりすることになりがちです。

 これに関係して「新たな情報システムがもたらす効果」をカッコよく言ったり、大袈裟に言うためのご支援をする会社もあるようですが、アプリテック株式会社ではこういったご支援は一切行っておりません。

 「情報システムがもたらす効果」に関して責任を持つのは、各社のトップまたは情報部門や利用部門の人々であるべきで、決して外部の人間ではないというのが、弊社の基本的な立場です。

 それから、弊社では、現状の硬直したシステムをメンテナンスしやすい柔軟なシステムにしないことには、何も始まらないと考えています。ちょっと変更しようとすると二、三ヶ月もかかるようなシステムでは、効果的な情報活用はおぼつかないのではないでしょうか。即ち、企業の戦略に合わせるためのメンテナンス作業が簡単にできるようにならないと、「情報システムがもたらす更なる効果」を議論しても絵に描いた餅になりかねないと言いたいのです。

 オープン化の進展で、ハードウェアの価格は、桁違いに安くなっていますから、問題はアプリケーションプログラムの費用だということになっています。もしもこれを安価にできれば、今まで手が届かなかったところにもコンピュータを活用できるはずです。しかし、こうなるとメンテナンス対象のプログラムが増えますから、そのメンテナンスのための費用を安価にできれなければ、身動きとれなくなって硬直化してしまいます。どの範囲までコンピュータを活用できるのかということは、どの範囲のプログラムをメンテナンスしていけるかにかかっているのです。

 乱暴な言い方ですが、「情報システムがもたらす効果」をこねくりまわすよりも、先ずはメンテナンスのしやすい柔軟なシステムに置き換えることが先決だと叫びたい気持ちです。効果的なシステムは改版につぐ改版というメンテナンスによって実現できるものです(「ソフトウェア部品」の第3章の一節を参照してください)。企業の戦略に合わせて変身していくシステムでなければ、更なる効果を得ることなど高嶺の花なのではないでしょうか。

 そして、もう一つ言いたいことは、近代的な効果的な技術を駆使すれば、昔のシステムと同程度のものなど簡単に開発できるし、メンテナンスしやすいものにすることも可能だということです。

 結論は、次の通りです。

 従来と同様のシステムを単にクラサバ構成にするだけでは、面白くありません。

 近代的な効果的な技術を駆使することで、少なくともメンテナンスのしやすい柔軟なシステムにしようではありませんか。

 これは、新たな情報システムがもたらす更なる効果を明確に言える場合にも、言いにくい場合にも重要なことです。なぜなら、これはメンテナンス費用の削減という実質的な効果があるだけでなく、新たな情報システムにプラスアルファの効果(企業の戦略に合わせてシステムを変身させていくことではじめて得られる効果)をもたらす可能性を高めるからです。

 皆様のご意見や感想をお待ちいたします。それに従って、この内容をより分かりやすいものにしていきたいと考えております。

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